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不動産の内見動画、何をどの順で見せるか?構成の型と撮影前チェックリスト

この記事の要点
- 玄関から順に歩く構成は、売りが映る前に離脱される
- 冒頭3秒はその物件の一番の売りに使う
- 30〜60秒なら見せる部屋は3箇所までに絞る
- 台本を1枚つくると迷わず現場に入れる
- 成約後の投稿停止フローを先に決めておく
内見動画とは何か?
内見動画とは、物件の室内を動画で紹介し、来店前に間取りと生活動線を把握できるようにしたコンテンツです。SNSでは30〜60秒の縦型に編集して投稿されます。写真では伝わらない天井高、廊下の幅、窓からの視線の抜けが伝わる点が、静止画との違いです。
本記事は、賃貸仲介で内見動画を外注せず自社で撮っている担当者向けです。
内見動画は何をどの順で見せるべきか?
玄関から順に歩くのではなく、その物件の一番の売りから見せます。「売り → 全体像 → 生活動線 → 条件」の順です。
玄関から始めると、売りが映る前に視聴者が離脱します。SNSの動画は冒頭で見るかどうかが決まるため、内見の実際の順序と、動画で見せる順序は一致させません。
区間 | 秒数の目安 | 見せるもの |
|---|---|---|
冒頭 | 0〜3秒 | その物件の一番の売り(眺望、広いLDK、独立洗面など) |
前半 | 3〜15秒 | 部屋の全体像。広さが分かる引きのカット |
中盤 | 15〜40秒 | 水回り・収納など生活動線 |
後半 | 40〜55秒 | バルコニー・共用部・周辺環境 |
末尾 | 55〜60秒 | 賃料・間取り・所在エリア・問い合わせ導線 |
秒数配分は編集部の推奨値です。統計ではありません。物件の売りが水回りにある場合は、中盤ではなく冒頭に置き換えます。
今日の1アクション:次に撮る物件について「この物件の売りは何か」を1文で書き出す。
最初の3秒で何を見せるか?
物件の一番の売りを、説明なしで映します。テロップは1行までに抑えます。
冒頭3秒に置いてはいけないものが2つあります。会社ロゴのアニメーションと物件名のタイトルカードです。どちらも情報量がゼロのまま3秒を消費します。ロゴを入れるなら末尾です。
テロップは物件のスペックではなく、視聴者の反応を書きます。「この窓、全部開きます」「洗面台が独立しています」のように、映っているものを1行で言い切る形にします。
今日の1アクション:過去に投稿した動画の冒頭3秒を見直し、ロゴやタイトルカードが入っていたら削る。
30〜60秒の動画で見せる部屋はいくつが適切か?
3箇所までです。全部屋を映すと1箇所あたりの秒数が短くなり、どの部屋も印象に残りません。
- 単身向け(1K・1LDK):居室 / 水回り / 収納
- ファミリー向け(2LDK以上):LDK / 水回り / バルコニー
見せなかった部屋は、別の動画に分けます。1物件1動画にこだわる必要はありません。同じ物件で「LDK編」「水回り編」と分けたほうが、投稿本数も確保できます。
今日の1アクション:撮影前に、見せる3箇所を紙に書く。
撮影前に決めておくことは何か?
台本を1枚つくります。何を撮るか決まった状態で現場に入れます。
- この物件の売りを1文で書く
- 見せる3箇所を決める
- 各カットの秒数を決める
- 冒頭3秒に置くカットを決める
- 末尾に表示する条件(賃料・間取り・所在エリア)を確認する
- 成約後に投稿を止める担当者と手順を決める
6番目を撮影前に決めておく理由は、規約上の問題を避けるためです。成約済み物件の投稿を残したままにすると、おとり広告に該当するおそれがあります。撮影担当と削除担当が別の場合、この取り決めがないと運用の中で抜け落ちます。
今日の1アクション:上の6項目をテンプレート化し、共有ドライブに置く。
内見動画でよくある失敗3つ
撮影技術ではなく、構成と運用の問題で起きる失敗が大半です。
- 玄関から順に歩く。売りが後半に来るため、そこに到達する前に離脱される
- 全部屋を詰め込む。1カットが2〜3秒になり、部屋の印象が残らない
- 成約後も投稿が残っている。おとり広告に該当するおそれがあり、規約違反のリスクがある
3番目は法規制に関わるため、他の2つと深刻度が違います。投稿を止める運用を先に決めてから、撮影を始めます。
内見動画で条件表示を省略してもよいのか?
省略はできません。動画の尺が短いことは、必要な表示を省く理由になりません。
宅地建物取引業法第32条は誇大広告等を禁止しており、所在・規模・形質、賃料の額などについて、事実に相違する表示や著しく優良・有利と誤認させる表示を認めていません。不動産の表示に関する公正競争規約でも、必要な事項の表示が求められます。
動画特有の論点は3つあります。
- 尺の都合で条件を省く:末尾のテロップか、投稿のキャプションで確認できる状態にする
- 家具消しや加工:加工した事実を明示しないと、実際の状態を誤認させるおそれがある
- 成約済み物件の掲載継続:おとり広告に該当するおそれがある
法令解釈が分かれる論点もあります。判断に迷う表示は、宅地建物取引士や所属する不動産公正取引協議会に確認してください。条文や規約は改正されるため、最新の内容を確認したうえで運用してください。
内見動画はリールと通常投稿、どちらで出すべきか?
リールです。縦型の短尺動画はフォロワー外にも表示されるため、来店前の認知を取る目的と合います。
通常投稿(フィード)に動画を置くと、既にフォローしている人にしか届きにくくなります。既存フォロワー向けの空室速報や店舗の告知はフィード、新規の反響を取りにいく内見動画はリール、と用途で分けます。
撮影時は最初から縦型(9:16)で撮ります。横向きで撮った素材を縦に切り出すと、天井と床が切れて広さが伝わらなくなります。
今日の1アクション:撮影時のスマホの向きを縦に固定するルールを、社内で決める。
テロップは何を書けばよいのか?
スペックではなく、映っているものへの反応を書きます。
間取りや面積などのスペックは、末尾にまとめて出せば足ります。動画の途中に出すテロップは、視聴者が画面を見て思うことを先に言い当てる役割です。
✕ スペックを書く | ○ 反応を書く |
|---|---|
洋室の帖数 | ベッドを置いてもデスクが入ります |
独立洗面台あり | 朝の混雑がなくなります |
南向き | この時間で照明なしです |
音声なしで再生されることを前提に、テロップだけで意味が通る状態にします。ナレーションを入れる場合も、テロップは同じ内容を残します。
今日の1アクション:直近の投稿のテロップを見て、スペックだけのものを反応の文に書き換える。
まとめ:今日から始める1ステップ
内見動画がうまくいかない原因は、撮影技術ではなく構成です。玄関から歩く順序をやめ、売りから見せる順序に変えるだけで、途中で離脱した視聴者にも売りは伝わります。
今日やることは1つです。次に撮る物件の売りを1文で書き、見せる3箇所を決める。これだけで台本の骨格ができます。
何を撮るかが決まれば、内見動画は撮れる
不動産会社が動画をやらない理由は、撮影が難しいからではなく、何をどう撮ればいいか分からないからです。台本があれば撮れます。
当社が提供するRoxDirectorは、同業や近隣エリアで伸びている動画を検索し、その論理構成から内見動画の台本を生成できるツールです。撮影の前に、何をどの順で見せるかが決まります。無料プランから試せます。
よくある質問
内見動画の長さはどれくらいがよいですか?
SNS投稿なら30〜60秒です。長い動画は完視聴されにくく、物件を絞って複数本に分けたほうが投稿本数も確保できます。
スマホだけで撮れますか?
撮れます。三脚かジンバルを使うと手ぶれが減り、歩きながらのカットが安定します。機材より構成のほうが結果に影響します。
家具消し加工をした画像や動画は使えますか?
加工した事実を明示しないと、実際の状態を誤認させるおそれがあります。加工した旨を明記してください。
成約した物件の動画はどうすべきですか?
投稿を削除または非表示にします。掲載を続けるとおとり広告に該当するおそれがあります。撮影前に停止の担当と手順を決めておいてください。
1物件で何本まで投稿してよいですか?
本数の規定はありません。同じ物件を「LDK編」「水回り編」と分けると、1カットの秒数を確保しながら投稿本数を増やせます。
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)/不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条。条文・規約は改正されるため、運用時は各協議会および消費者庁の公表資料で最新の内容を確認してください。
