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AI導入で失敗する不動産会社の共通点|5つのパターン

この記事の要点

  • ツールから入ると使われずに終わる
  • 対象業務を1つに絞って始める
  • 導入前の作業時間を記録しないと効果を測れない
  • 確認工程を設計しないと事故につながる
  • 推進する担当を1人決める

本記事は、賃貸・売買仲介の店舗オーナー・本部の推進担当者向けです。AI活用全体の流れは「不動産業務でAIを使う方法」で解説しています。本記事はそのうち、導入時の失敗パターンを扱います。

失敗1:ツールから入る

最も多い失敗です。「何に使うか」が決まらないままツールを契約すると、各自が試して終わります。

導入の相談が「どのAIツールがいいか」から始まる場合、この状態になりやすくなります。ツールは手段であって、解決すべき課題が先にあるはずです。

先に決めること

  1. どの業務の時間を減らしたいか:物件紹介文の作成、追客メール、議事録など
  2. 現在その業務に何時間かかっているか:測定していないなら記録から始める
  3. 誰が使うか:全員か、まず1人か

この3つが決まってから、それを満たすツールを選びます。ツール選定の観点は別記事で解説しています。

今日の1アクション:時間を減らしたい業務を1つ挙げてください。

失敗2:対象業務を絞らない

全業務に使おうとすると、どれも中途半端になります。

AIは業務によって効果の出方が大きく異なります。文章を書く業務では時間が半分以下になることもありますが、判断や確認が中心の業務ではほとんど変わりません。まず効果が出やすい業務で成功例を作るほうが、社内の理解も得られます。

効果が出やすい業務の順

業務

理由

1

議事録・社内資料の要約

社内完結で、誤りが外に出ない

2

物件紹介文の下書き

定型的で、確認もしやすい

3

追客メールの文面

複数案を作らせて選べる

4

問い合わせの一次回答案

顧客に接するため確認体制が必要

1番目から始めて、慣れてから下に降りる順序が安全です。

今日の1アクション:最初に取り組む業務を1つ決めてください。

失敗3:効果を測らない

導入前の作業時間を記録していないと、続けるべきかの判断ができません。

「なんとなく楽になった」で終わると、費用に見合っているかも、他の業務に広げるべきかも判断できません。数か月後には利用も止まります。

測り方

  1. 導入前に、対象業務の所要時間を1週間記録する
  2. 1か月使ってから、同じ業務の時間を1週間記録する
  3. 差分を確認する
  4. 確認作業の時間も含めて計算する

4番目が抜けやすい項目です。生成は速くても、確認に時間がかかりすぎて総時間が減らない場合があります。その場合は、渡す情報の整理か指示の制約が不十分です。

今日の1アクション:対象業務の現在の所要時間を記録し始めてください。

失敗4:確認工程を設計しない

誰がいつ確認するかが決まっていないと、数値の誤りや不適切な表現がそのまま公開されます。

AIの出力には誤りが混入します。実在しない設備への言及、最上級表現の使用、数値の推測による補完などです。指示で制約をかけても完全には防げません。

設計すること

  • 確認する人:作成者とは別の人。宅地建物取引士の資格を持つ者を推奨
  • 確認する項目:数値・表現・事実の3点
  • 確認のタイミング:公開前、送信前
  • 判断に迷ったときの対応:公開せず、確認してから

公開した広告表示の責任は宅地建物取引業者にあり、AIを使ったことは免責の理由になりません。確認項目の詳細は別記事で解説しています。

今日の1アクション:AI生成物の確認担当を1人指名してください。

失敗5:推進する担当を決めない

全員の担当は、誰の担当でもありません。 3か月後には誰も使っていない状態になります。

新しい業務のやり方が定着するには、旗を振る人が必要です。指示テンプレートを整備する、うまくいった使い方を共有する、困っている人に教える。この役割がないと、各自が個別に試して個別に諦めます。

推進担当の役割

  1. 指示テンプレートを作り、社内で共有する
  2. 効果が出た使い方を横展開する
  3. 入力してよい情報のルールを周知する
  4. 月1回、利用状況と効果を確認する

これは技術に詳しい人である必要はありません。むしろ現場の業務を知っている人のほうが適しています。

今日の1アクション:推進担当を1人決めてください。

まとめ:今日から始める1ステップ

AI導入の失敗は、次の5点を押さえれば避けられます。

  • ツールより先に、対象業務を決める
  • 業務は1つに絞る。社内完結する業務から
  • 導入前の作業時間を記録する
  • 確認工程(担当・項目・タイミング)を設計する
  • 推進する担当を1人決める

今日の1ステップ:対象業務を1つ決め、現在の所要時間を記録し始めてください。この2つがないまま導入すると、効果を判断できないまま終わります。

よくある質問

AIを導入したのに使われないのはなぜですか?

対象業務が決まっていないためです。「何に使うか」が曖昧なまま契約すると、各自が試して終わります。まず1つの業務に絞り、効果が出てから広げてください。

効果はどう測ればいいですか?

導入前に対象業務の所要時間を記録し、1か月後に同じ業務の時間を計測してください。記録がないと、続けるべきか判断できません。

全社で一斉に導入すべきですか?

1店舗、1業務から始めることを推奨します。使い方の型ができてから横展開したほうが、各拠点が一から試行錯誤する必要がなくなります。

現場が使いたがらない場合は?

効果が実感できる業務から始めてください。文章を書く時間が長い業務は効果が分かりやすく、抵抗も少なくなります。いきなり顧客対応に使わせると、確認の負担だけが増えます。

この記事を書いた人

四辻 俊昭

Rox株式会社 代表取締役 CEO / CMO

サイバーエージェントグループでWebディレクター・アートディレクターを経験後、2015年に3Minute(後にGREEグループ入り)の創業フェーズへ参画。lute株式会社では広告代理店事業の立ち上げから執行役員 兼 事業部長を務め、SNS・Web動画を中心としたデジタルコミュニケーション施策の企画・設計に従事。動画SaaS企業での新規事業を経て、2021年10月にRox株式会社を設立。

タグ:AI活用 / 導入失敗 / 業務効率化 / 運用設計 / 社内浸透

出典・参考
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)/個人情報の保護に関する法律