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SNS自動化で失敗する不動産会社の共通点|5つのパターン

この記事の要点

  • 体制を作らずツールだけ導入すると回らない
  • 投稿数を目的にすると内容が薄くなる
  • 確認工程を省くと成約物件が残り事故になる
  • 内容の生成まで任せると物件情報に誤りが混入する
  • 導入後に効果を測る指標を決めていない

本記事は、賃貸・売買仲介の店舗でSNS自動化の導入を検討している、または導入したが成果が出ていない担当者向けです。自動化全体の流れは「不動産会社のSNS投稿を自動化する方法」で解説しています。本記事はそのうち、失敗パターンを扱います。

失敗1:体制を作らずツールだけ導入する

最も多い失敗です。ツールが代替できるのは作業であり、体制の代わりにはなりません。

担当者が決まっていない、撮影のタイミングが決まっていない、確認する人が決まっていない。この状態でツールを導入しても、投稿する素材がそもそも生まれません。ツールは「作った投稿を効率よく公開する」ための道具であって、投稿を生み出す道具ではないためです。

導入前に決める3項目

  1. 投稿作成の担当:最低2名。1人依存は退職・異動・繁忙で必ず止まる
  2. 公開前確認の担当:物件が募集中かを確認する
  3. 成約時の停止担当:予約投稿の取り消しと公開済み投稿の削除

この3つが決まっていないなら、ツールより先に体制の設計が必要です。運用体制の作り方は別記事で解説しています。

今日の1アクション:上の3項目が社内で決まっているか確認してください。

失敗2:投稿数を増やすことを目的にする

自動化すると投稿数は増やせますが、増やすこと自体を目的にすると内容が薄くなります。

投稿の質が下がると、保存数とフォロー維持率が下がります。商圏が限られる仲介業では、フォロワー数よりも「後で見返す」という保存の行動のほうが成約に近い指標です。数を増やして保存が減るなら、成果としては後退しています。

自動化の効果はどこに表れるか

誤った期待

実際の効果

投稿数が3倍になる

繁忙期でも更新が止まらない

フォロワーが急増する

サイトとSNSの更新が同時に維持できる

反響が自動で増える

作業時間が減り、企画と撮影に回せる

今日の1アクション:自動化に何を期待しているかを書き出し、上の表と照らしてください。

失敗3:公開前の確認工程を省く

自動化の度合いが上がるほど、公開までに人が関与する機会が減ります。 ここで確認工程を省くと、成約済み物件の投稿が公開され続けます。

取引できない物件を掲載し続けると、おとり広告に該当するおそれがあります。手作業の運用であれば投稿前に募集状況を自然に確認しますが、予約投稿ではこの確認が飛びます。作成時点と公開時点にズレがあるためです。

残すべき確認

  • 公開予定の投稿について、対象物件が募集中か
  • 徒歩分数・面積・築年数が資料の値と一致しているか
  • 使用してはいけない表現が含まれていないか

特に3番目は、宅地建物取引士の資格を持つ者が確認する体制にしてください。使ってはいけない表現は別記事で一覧化しています。

個別の事案がおとり広告に該当するかは判断が分かれます。判断に迷う場合は、宅地建物取引士や所属する公正取引協議会に確認してください。

今日の1アクション:公開中の投稿に成約済み物件が残っていないか確認してください。

失敗4:投稿内容の生成まで自動化に任せる

自動化すべきなのは実行であって、内容ではありません。 物件情報の生成まで任せると、家賃や徒歩分数に誤りが混入します。

AIに投稿文の下書きを作らせること自体は有効です。ただし、次の線引きが必要です。

任せてよい

人が行う

文章の構成

家賃・面積・徒歩分数の入力

言い回しの提案

推しポイントの選定

ハッシュタグの候補出し

表示規約への適合確認

数値は資料の確定値を人が入力し、AIには文章化だけを任せる設計にしてください。テンプレートの数値欄は空欄にしておき、入力しなければ気づく形にすると事故が減ります。

今日の1アクション:投稿文の作成手順で、数値を誰が入力しているか確認してください。

失敗5:効果を測る指標を決めていない

導入後に続けるべきか判断できなくなります。 何をもって効果とするかを、導入前に決めてください。

見るべき指標

  • 更新の継続率:繁忙期に更新が止まらなかったか
  • 保存数:後で見返す価値があったか
  • DM数:成約に最も近い行動
  • 作業時間:導入前と比べて何時間減ったか

自動化の場合、1番目と4番目が固有の指標になります。投稿数やフォロワー数は目的ではないため、判断材料にしないでください。効果測定の詳細は別記事で解説しています。

評価は最低6か月継続してから行ってください。1〜2か月では、繁忙期を経ていないため継続性が測れません。

今日の1アクション:導入前の作業時間を記録してください。比較対象がないと効果が測れません。

まとめ:今日から始める1ステップ

SNS自動化の失敗は、次の5点を押さえれば避けられます。

  • ツールより先に体制を作る(担当者・確認・停止の3項目)
  • 目的は投稿数ではなく、更新が止まらないこと
  • 公開前の確認工程を必ず残す
  • 自動化するのは実行であって内容ではない
  • 導入前に効果を測る指標と現状値を記録する

今日の1ステップ:投稿作成・公開前確認・成約時停止の3つの担当者が決まっているか確認してください。決まっていなければ、ツール選定より先にこちらです。

よくある質問

ツールを入れれば運用は回りますか?

回りません。ツールが代替できるのは作業であり、担当者・撮影のタイミング・確認の工程は人が設計する必要があります。体制がないままツールを入れると、使われずに終わります。

自動化して投稿数を増やすのは間違いですか?

投稿数そのものを目的にすると内容が薄くなり、保存数とフォロー維持率が下がります。自動化の効果は、繁忙期でも更新が止まらない継続性に表れます。

確認工程を省くと具体的に何が起きますか?

成約済み物件の投稿が公開され続けます。取引できない物件の掲載はおとり広告に該当するおそれがあり、規約に基づく措置の対象になる可能性があります。

AIに投稿文を作らせるのは危険ですか?

構成や言い回しの下書きには使えますが、物件の数値を生成させないでください。家賃・面積・徒歩分数は資料の確定値を人が入力し、AIには文章化だけを任せる設計にしてください。

この記事を書いた人

四辻 俊昭

Rox株式会社 代表取締役 CEO / CMO

サイバーエージェントグループでWebディレクター・アートディレクターを経験後、2015年に3Minute(後にGREEグループ入り)の創業フェーズへ参画。lute株式会社では広告代理店事業の立ち上げから執行役員 兼 事業部長を務め、SNS・Web動画を中心としたデジタルコミュニケーション施策の企画・設計に従事。動画SaaS企業での新規事業を経て、2021年10月にRox株式会社を設立。

タグ:SNS自動化 / 失敗事例 / 業務効率化 / 運用設計 / 賃貸仲介

出典・参考
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)/不当景品類及び不当表示防止法