
店舗でインスタを続けるための運用体制と担当者の決め方
この記事の要点
- 続かない原因は熱意ではなく体制の不在
- 担当は最低2人。1人依存は必ず止まる
- 撮影は物件確認・案内の業務に組み込む
- 常に2週間分のストックを持つ
- 繁忙期は頻度を落とす前提で設計する
不動産店舗でInstagramの更新が止まる原因と、続けるための体制の作り方を解説します。担当者の決め方、業務への組み込み方、ストックの持ち方、繁忙期の運用まで、賃貸・売買仲介の店舗向けにまとめました。
本記事は、賃貸・売買仲介の店舗オーナー・店舗責任者向けです。Instagram運用全体の流れは「不動産会社のInstagram運用完全ガイド」で解説しています。本記事はそのうち、更新が止まらない運用体制の作り方を扱います。
なぜ不動産店舗のInstagramは止まるのか?
止まる原因は担当者の熱意ではなく、体制が設計されていないことです。誰が・いつ・何を投稿するかが決まっていないアカウントは、業務が立て込んだ時点で優先順位が下がり、そのまま再開されません。
不動産仲介には明確な繁忙期があります。この時期は接客・契約業務が集中し、Instagramの更新は後回しになります。ここで一度止まると、再開のきっかけを失います。数か月更新のないアカウントを再開する心理的なコストは、続けるコストより高くなります。
つまり、運用の設計で解くべき課題は「どうやってモチベーションを保つか」ではなく、「繁忙期でも止まらない仕組みをどう作るか」です。
今日の1アクション:自社アカウントの直近3か月で、更新が空いた期間があるか確認してください。
担当者は何人で、どう決めるべきか?
担当は最低2人置きます。1人に任せた運用は、退職・異動・繁忙のいずれかで必ず止まるためです。
重要なのは、2人を「主担当と代替要員」に分けないことです。代替要員は普段投稿していないため、いざというときに操作も判断基準も分かりません。2人とも定期的に投稿する状態を作ります。
決めておく4項目
項目 | 決め方 |
|---|---|
担当者 | 2人。曜日または週で分担する |
アカウント権限 | 店舗責任者を含む3人以上が管理権限を持つ(担当者の退職時に凍結しないため) |
投稿の承認範囲 | 月のテーマは責任者、個別投稿は担当者が判断 |
法規制の確認者 | 宅地建物取引士の資格を持つ者を1人指名する |
すべての投稿を承認制にすると、承認待ちで更新が止まります。逆にすべてを担当者に任せると、表示規約や誇大広告に関する判断が担当者任せになります。テーマは責任者、個別は担当者、法規制は有資格者、という三層に分けるのが現実的です。
今日の1アクション:アカウントの管理権限を持つ人が何人いるか確認してください。1人であれば追加します。
撮影はどうやって業務に組み込むのか?
撮影は独立した作業にせず、物件確認・案内・鍵の受け渡しなど既存の業務に組み込みます。「時間があるときに撮る」という運用では、時間が確保される日が来ないためです。
組み込みの例
- 物件確認時:確認のついでに撮影する。撮影のためだけの訪問をなくす
- 内見の直前:清掃済みの状態で撮れる。案内前の待ち時間を使う
- 鍵の受け渡し時:短時間でも外観・共用部は押さえられる
- 物件周辺への移動時:エリア情報の素材を撮る
この形にするには、撮影項目を事前に固定しておく必要があります。何を撮るか毎回考える運用では、時間のあるときにしか実行されません。撮影順と枚数を決めたチェックリストを用意し、担当者が持ち歩ける状態にしてください。撮影の具体的な手順は物件写真の記事で解説しています。
今日の1アクション:撮影項目のチェックリストを作り、外出時に持ち歩けるようにしてください。
投稿のストックはどれだけ持つべきか?
常に2週間分のストックを持ちます。作りながら投稿する運用は、業務が立て込んだ時点で破綻するためです。
週3〜4回の投稿であれば、2週間分は6〜8本にあたります。この本数を切らさないよう、閑散期にまとめて素材を作り、繁忙期は消化に回します。
ストックの作り方
- 撮影とテキスト作成をまとめて行う日を設ける:月2回、半日ずつなど
- 物件情報以外のストックを優先する:エリア情報・スタッフ紹介は鮮度が落ちにくい
- 物件情報は短期で消化する:成約により掲載できなくなるため、溜めすぎない
- 予約投稿を使う:作った時点で公開日を設定し、投稿作業自体をなくす
物件情報を長期のストックにしないことが重要です。成約済みの物件を予約投稿で公開してしまうと、取引できない物件の掲載になり、おとり広告に該当するおそれがあります。予約投稿を使う場合は、公開前に成約状況を確認する工程を必ず挟んでください。
今日の1アクション:現在のストック本数を数えてください。ゼロであれば、投稿頻度を落としてでもストックを作る期間を設けます。
繁忙期の運用はどう設計するのか?
繁忙期は頻度を落とす前提で設計します。通常時と同じ頻度を維持しようとすると、どこかで完全に止まり、再開できなくなるためです。
頻度の設計例
時期 | 頻度 | 投稿内容 |
|---|---|---|
通常期 | 週3〜4回 | 物件6:エリア3:人1の比率 |
繁忙期 | 週1〜2回 | ストックの消化。新規制作を止める |
閑散期 | 週3〜4回+制作 | ストックの積み増しを並行 |
繁忙期に週1回でも更新が続いていれば、アカウントは「動いている」状態を保てます。完全に止まった状態から再開するのとは、必要な労力が大きく異なります。
この設計を機能させるには、繁忙期に入る前の段階でストックが積まれている必要があります。閑散期にストックを作る作業を、繁忙期対策として業務計画に入れてください。
今日の1アクション:自社の繁忙期がいつかを確認し、その2か月前にストック作成期間を設定してください。
投稿作業そのものを減らすには?
投稿作業は予約投稿とテンプレート化で減らせます。作業のうち、判断を伴わない部分を先に処理しておく発想です。
削減できる作業
- 投稿する行為そのもの:予約投稿で、作成時点に公開日を設定する
- 文章の構成を考える時間:物件紹介・エリア紹介それぞれのテンプレートを用意する
- ハッシュタグの選定:エリア用・物件タイプ用のセットを事前に作る
- サイトへの反映作業:Instagramの投稿を自社サイトに手作業で転記している場合、連携で自動化できる
投稿の自動化・省力化には専用のツールを使う方法もあります。弊社が提供するRox Message AutoPostは、SNS投稿の自動化と、Instagramの投稿を自社サイトへ表示する連携に対応しています。手作業の転記や投稿作業を減らす用途に向きます。
ただし自動化する場合も、成約済み物件の投稿が自動で公開され続けないよう、停止・削除の運用ルールを先に決めてください。取引できない物件の掲載は、おとり広告に該当するおそれがあります。判断に迷う場合は、宅地建物取引士や所属する公正取引協議会に確認してください。
自動化の具体的な方法は、別記事で解説します。
今日の1アクション:現在の投稿作業のうち、判断を伴わない作業がどれかを書き出してください。
よくある失敗と注意点
運用体制で繰り返し起きる失敗は、次の5つです。
- 担当者1人に任せる:退職・異動・繁忙で止まります。最低2人にします
- 撮影を独立した作業にする:時間が確保される日が来ません。既存業務に組み込みます
- ストックを持たない:繁忙期に破綻します。常に2週間分を確保します
- すべてを承認制にする:承認待ちで更新が止まります。判断の層を分けます
- 繁忙期も同じ頻度を目指す:完全に止まります。落とす前提で設計します
加えて、担当者の異動・退職時にアカウントの管理権限が引き継がれず、ログインできなくなる事例があります。管理権限は必ず店舗責任者を含む複数名で保持してください。
まとめ:今日から始める1ステップ
不動産店舗のInstagram運用体制は、次の基準で作れます。
- 担当は最低2人。両方が定期的に投稿する
- 管理権限は責任者を含む3人以上が保持する
- 撮影は物件確認・案内などの既存業務に組み込む
- 常に2週間分のストックを持つ
- 繁忙期は週1〜2回に落とす前提で設計する
- 判断を伴わない作業は予約投稿・テンプレートで減らす
今日の1ステップ:アカウントの管理権限を持つ人数を確認し、1人であれば店舗責任者を追加してください。担当者の退職時にアカウントを失うリスクを、今日なくせます。
よくある質問
- 担当者は何人必要ですか?
- 最低2人です。1人に任せると、退職・異動・繁忙のいずれかで必ず止まります。2人でも「主担当と代替要員」ではなく、両方が投稿できる状態にしておく必要があります。
- 外注したほうが早いのではないですか?
- 撮影と編集は外注できますが、物件情報の正確性と法規制の確認は社内に残ります。誤った表示があった場合の責任は宅地建物取引業者にあるため、公開前の確認工程は社内で持つ設計にしてください。
- 繁忙期はどうすればいいですか?
- 頻度を落とす前提で設計してください。繁忙期に無理をして止まるより、週3回を週1回に落として継続するほうが再開のコストがかかりません。そのために閑散期のストックが必要になります。
- 投稿内容は誰が決めるべきですか?
- 月単位のテーマは店舗責任者が決め、個別の投稿は担当者が判断する形が現実的です。すべてを承認制にすると更新が止まり、すべてを任せると法規制上のリスクが上がります。
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)