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複数店舗の不動産SNS運用、アカウントはどう分けるべきか

この記事の要点

  • 商圏が重ならないなら店舗別アカウントが基本
  • 商圏が重なるなら本部で一本化する
  • 店舗別にすると運用負荷が店舗数だけ増える
  • 投稿ルールと NG表現は本部で統一する
  • 管理権限は必ず本部も保持する

本記事は、複数店舗を持つ賃貸・売買仲介会社の本部担当者・店舗責任者向けです。自動化全体の流れは「不動産会社のSNS投稿を自動化する方法」で解説しています。本記事はそのうち、複数アカウントの管理設計を扱います。

アカウントは店舗別と本部一本化のどちらにすべきか?

判断基準は商圏が重なるかどうかです。重ならないなら店舗別、重なるなら本部一本化が基本になります。

仲介業は商圏が限られます。店舗ごとに営業エリアが異なるなら、アカウントもエリアを絞ったほうが、その地域の見込み客に届きやすくなります。「◯◯駅の賃貸なら」という形で認知されるには、発信の軸が絞られている必要があるためです。

一方、複数店舗が同じエリアを扱っている場合、同じ物件を複数のアカウントで投稿することになります。手間が増えるだけで、見込み客から見ても違いが分かりません。

判断の整理

店舗別アカウント

本部一本化

向く条件

商圏が重ならない

商圏が重なる

強み

エリアを絞れる

投稿の質を集約できる

弱み

運用負荷が店舗数だけ増える

エリア色を出しにくい

必要な体制

各店舗に担当者2名

本部に専任担当

今日の1アクション:各店舗の営業エリアを書き出し、重なりがあるか確認してください。

店舗数が多い場合はどうするのか?

全店舗で個別運用するのは現実的ではありません。運用できる本数から始めるという判断が必要です。

1アカウントを継続的に運用するには、最低2名の担当者と週3〜4回の更新体制が要ります。10店舗あれば20名分の関与が必要になる計算です。これを最初から目指すと、どのアカウントも中途半端になります。

現実的な進め方

  1. 主要エリアの1〜2店舗から始める:運用が回る形を作る
  2. 投稿ルールと型を固める:先行店舗で確立する
  3. 横展開する:型ができてから他店舗へ広げる
  4. 残りは本部アカウントでカバー:全店舗を無理に個別運用しない

先行店舗で型を作ってから展開すると、各店舗が一から試行錯誤する必要がなくなります。運用体制の作り方は別記事で解説しています。

今日の1アクション:最初に運用を固める店舗を1つ決めてください。

本部と店舗で何を分担すべきか?

ルールは本部、個別の投稿は店舗という分担が現実的です。すべてを本部承認にすると更新が止まり、すべてを店舗に任せると法規制上の判断が担当者任せになります。

分担の基準

項目

担当

投稿のトンマナ

本部が統一

NG表現の一覧

本部が作成・更新

徒歩分数・面積の表記ルール

本部が統一

成約時の投稿削除ルール

本部が定義、店舗が実行

月単位のテーマ

本部が提示

個別の投稿内容

店舗が判断

撮影のタイミング

店舗が判断

DMの一次対応

店舗が対応

特にNG表現の一覧は本部が持つべき項目です。景品表示法や不動産の表示に関する公正競争規約への適合は、店舗ごとに判断がぶれると事故につながります。使ってはいけない表現は別記事で一覧化しています。

今日の1アクション:NG表現の一覧が社内に存在するか確認してください。

アカウントの管理権限はどう設計するのか?

管理権限は本部と店舗責任者の複数名で保持します。 店舗担当者だけが権限を持っていると、退職・異動時にアカウントにアクセスできなくなるためです。

権限設計の3原則

  • 3名以上が管理権限を持つ:本部1名以上、店舗責任者を含める
  • 担当者の交代時に権限を更新する:退職者の権限は速やかに削除する
  • 連携ツールの権限も同様に管理する:ツール側のアカウントも同じ設計にする

実際に起きているのは、担当者の退職後にログイン情報が分からず、アカウントを新規に作り直す事例です。それまでに蓄積したフォロワーと投稿が失われます。

複数アカウントを横断して管理できるツールを使う場合も、ツール側の管理者を本部が保持してください。

今日の1アクション:各店舗アカウントの管理権限保持者を一覧にしてください。

よくある失敗と注意点

複数店舗のSNS運用で繰り返し起きる失敗は、次の5つです。

  1. 全店舗で一斉に始める:どこも中途半端になります。1店舗で型を作ります
  2. 商圏が重なるのに店舗別にする:同じ物件を重複投稿することになります
  3. ルールを店舗任せにする:表示規約への適合がぶれます
  4. すべてを本部承認にする:承認待ちで更新が止まります
  5. 管理権限を店舗担当者だけが持つ:退職時にアカウントを失います

加えて、店舗間で投稿内容が競合しないよう、扱う物件の範囲を整理してください。同じ物件を複数店舗が別々に投稿すると、見込み客が混乱します。

まとめ:今日から始める1ステップ

複数店舗のSNS運用は、次の基準で設計できます。

  • 商圏が重ならないなら店舗別、重なるなら本部一本化
  • 全店舗で一斉に始めず、1店舗で型を作る
  • ルールは本部、個別の投稿は店舗が判断する
  • NG表現の一覧は本部が持つ
  • 管理権限は本部を含む3名以上で保持する

今日の1ステップ:各店舗アカウントの管理権限を持つ人を一覧にしてください。本部が入っていないアカウントがあれば、今日追加できます。

よくある質問

店舗ごとにアカウントを分けるべきですか?

商圏が重ならない場合は分けてください。エリアを絞ったアカウントのほうが、その地域の見込み客に届きやすくなります。商圏が重なる場合は、同じ物件を複数アカウントで扱うことになり非効率です。

店舗が10以上ある場合はどうすべきですか?

全店舗で個別運用するのは現実的ではありません。主要エリアの数店舗のみアカウントを持ち、他は本部アカウントでカバーする形が現実的です。運用できる本数から始めてください。

投稿内容は店舗に任せてよいですか?

個別の投稿は店舗、月単位のテーマとNG表現のルールは本部、という分担が現実的です。すべて本部承認にすると更新が止まり、すべて任せると法規制上の判断が担当者任せになります。

店舗の担当者が退職したらどうなりますか?

本部が管理権限を持っていなければ、アカウントにログインできなくなる可能性があります。管理権限は必ず本部と店舗責任者の複数名で保持してください。

この記事を書いた人

四辻 俊昭

Rox株式会社 代表取締役 CEO / CMO

サイバーエージェントグループでWebディレクター・アートディレクターを経験後、2015年に3Minute(後にGREEグループ入り)の創業フェーズへ参画。lute株式会社では広告代理店事業の立ち上げから執行役員 兼 事業部長を務め、SNS・Web動画を中心としたデジタルコミュニケーション施策の企画・設計に従事。動画SaaS企業での新規事業を経て、2021年10月にRox株式会社を設立。

タグ:複数店舗 / アカウント運用 / SNS運用 / 店舗運営 / 賃貸仲介

出典・参考
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)