
不動産インスタの効果測定、見るべき指標は保存数とDM数
この記事の要点
- 追う指標はDM数と保存数。いいね数は目標にしない
- 確認は週次ではなく月次で行う
- 保存数上位3本の共通点を次月に反映する
- リーチが低いのは投稿内容、保存が低いのは有用性の問題
- 評価は最低6か月継続してから行う
不動産会社のInstagramで、どの指標を見て改善すべきかを解説します。保存数とDM数を優先する理由、いいね数を目標にしない理由、月次での確認手順、伸びない投稿の原因特定までまとめました。
本記事は、賃貸・売買仲介の集客担当・店舗オーナー向けです。Instagram運用全体の流れは「不動産会社のInstagram運用完全ガイド」で解説しています。本記事はそのうち、効果測定と改善の進め方を扱います。
不動産のInstagramで、どの指標を見るべきか?
追うべき指標はDM数と保存数です。いいね数やフォロワー数は増減が目立つ一方で、成約との連動が弱いためです。
商圏が限られる仲介業では、営業エリア外のフォロワーが何人増えても成約にはつながりません。いいね数も同様で、投稿への好意的な反応ではあっても、物件を探している行動とは限りません。
一方、保存は「後で見返す」という意思表示です。物件を検討している人、条件を比較している人が取る行動であり、検討段階にいることを示します。DMはさらに直接的で、成約に最も近い行動です。
指標の優先順位
優先 | 指標 | 見る理由 |
|---|---|---|
1 | DM数・問い合わせ数 | 成約に最も近い行動 |
2 | 保存数 | 後で見返す意思=検討中のサイン |
3 | プロフィールへのアクセス数 | 投稿から会社への関心に移った数 |
4 | リーチ数 | 新規に届いた範囲。リールの評価に使う |
参考 | いいね数・フォロワー数 | 推移の把握のみ。目標にしない |
今日の1アクション:直近1か月の保存数とDM数を確認してください。
数字はどの頻度で確認すべきか?
確認は月次で行います。週単位では投稿内容以外の要因で数字が変動し、判断を誤るためです。
週ごとの数字は、投稿した曜日・時間帯・その週の物件の質・季節要因など、複数の要因で動きます。この変動を投稿内容の良し悪しと解釈すると、改善の方向を誤ります。
月次の確認手順
- 保存数上位3本を抽出する:どの投稿が最も保存されたかを確認する
- 共通点を書き出す:物件タイプ、価格帯、投稿形式、1枚目の内容など
- 下位3本も確認する:伸びなかった投稿の共通点を把握する
- 翌月の投稿に反映する:上位の共通点を持つ投稿を増やす
- DM数の推移を確認する:保存数の増加がDMにつながっているかを見る
この作業は月末に30分あれば終わります。重要なのは、上位の投稿を見て「なぜ保存されたか」を言語化することです。言語化されていない知見は、担当者が変わると失われます。
今日の1アクション:直近1か月で保存数が多かった投稿を3本書き出してください。
数字が伸びないとき、どこに原因があるのか?
原因はリーチ・保存・DMのどの段階で落ちているかで切り分けます。段階によって打つ手が異なるためです。
原因の切り分け
状況 | 原因 | 打つ手 |
|---|---|---|
リーチが低い | 投稿が届いていない | リールの活用、1枚目の見直し、ハッシュタグの再設計 |
リーチはあるが保存が低い | 後で見返す理由がない | 比較・手順・条件別のまとめに変える |
保存はあるがDMがない | 導線がない | 投稿にDMへの誘導文を明記する |
DMはあるが来店しない | 初回対応の問題 | 返信速度とテンプレートを見直す |
保存数が低い場合、投稿内容が「その場で消費して終わる」形になっていることが多くあります。物件を1件だけ紹介する投稿より、条件別に複数を比較した投稿や、手順をまとめた投稿のほうが保存されます。
DMがない場合は、導線の問題である可能性が高くなります。投稿に問い合わせ窓口が明記されていなければ、見込み客は行動できません。導線の設計はDM・ストーリーズの記事で解説しています。
今日の1アクション:直近の投稿を、上の表のどの状況に当たるか分類してください。
リールと写真投稿は、同じ指標で評価していいのか?
評価軸を分けます。リールはリーチと視聴維持率、写真投稿は保存数を主に見ます。両者の役割が異なるためです。
リールはフォロワー以外にも表示されるため、新規リーチの獲得が主な役割です。ここでは、どれだけ新しい人に届いたかと、どの秒数で離脱されたかが判断材料になります。
写真投稿はフォロワーに届く割合が高いため、既存フォロワーにとっての有用性が問われます。保存数がその指標になります。
リールで確認する項目
- リーチ数:新規にどれだけ届いたか
- 視聴維持率:どの秒数で離脱が起きたか
- 冒頭2秒の離脱:ここで大きく落ちる場合は構成の問題
- 保存数:後で見返す価値があったか
視聴維持率の確認を毎回手作業で行うのは負担が大きいため、動画の構成・演出・台本をスコア化して弱点を特定するツールを使う方法もあります。弊社が提供するRoxDirectorは、自社の動画を分析して改善点を数値で示すほか、同業・近隣エリアで伸びている動画を検索し、その構成から台本を作成する機能を備えています。「どの投稿が正解か分からない」段階で、比較対象を得る用途に向きます。無料で試せます。
リールの構成の作り方は、内見動画の記事で解説しています。
今日の1アクション:直近5本のリールの視聴維持率を確認し、離脱が起きている秒数を書き出してください。
成果はいつ判断すべきか?
評価は最低6か月継続してから行います。Instagramは指名や信頼形成に効くため、効果が数字に表れるまで時間がかかるためです。
1〜2か月で判断すると、アカウントが機能し始める前に撤退することになります。投稿を続けた結果として、ポータル経由の問い合わせ時に「Instagramを見ていました」と言われる、来店時の会話がスムーズになる、といった形で効果が出る場合もあります。
期間ごとの見方
期間 | 見るべきこと |
|---|---|
1〜3か月 | 更新が継続できているか。数字は判断材料にしない |
4〜6か月 | 保存数の推移。上位投稿の傾向が見えてくる |
6か月〜 | DM数と来店数。投資判断はここから |
最初の3か月で見るべきなのは数字ではなく、体制が機能しているかです。更新が止まっていれば、数字を分析しても意味がありません。運用体制の作り方は別記事で解説しています。
今日の1アクション:運用開始から何か月経過しているかを確認し、上の表のどの段階かを把握してください。
よくある失敗と注意点
効果測定で繰り返し起きる失敗は、次の5つです。
- いいね数を目標にする:成約との連動が弱い指標です。保存数とDM数を見ます
- 週次で一喜一憂する:投稿内容以外の要因で変動します。月次で判断します
- 上位投稿の理由を言語化しない:知見が蓄積されません。共通点を書き出します
- リールと写真投稿を同じ軸で見る:役割が異なります。評価軸を分けます
- 1〜2か月で判断する:機能する前に撤退することになります。最低6か月継続します
加えて、数字を追う過程で投稿内容が過度に煽る方向に寄らないよう注意してください。反応を得るために誇張した表現を使うと、景品表示法や不動産の表示に関する公正競争規約に抵触するおそれがあります。
まとめ:今日から始める1ステップ
不動産のInstagramの効果測定は、次の基準で行えます。
- 追う指標はDM数と保存数
- いいね数・フォロワー数は推移の把握のみ
- 確認は月次。週次では判断を誤る
- 月末に保存数上位3本の共通点を言語化する
- リールはリーチと視聴維持率、写真投稿は保存数で評価する
- 投資判断は6か月以降に行う
今日の1ステップ:直近1か月で保存数が多かった投稿を3本抽出し、共通点を1行で書き出してください。これが翌月の投稿方針になります。
よくある質問
- フォロワー数は増やさなくていいのですか?
- 目標にする必要はありません。商圏が限られる仲介業では、営業エリア外のフォロワーが増えても成約につながらないためです。フォロワー数は推移の把握にとどめ、判断はDM数と保存数で行ってください。
- 数字はどのくらいの頻度で見るべきですか?
- 月次で十分です。週単位では投稿内容以外の要因で変動し、判断を誤ります。月末に保存数上位3本を抽出し、共通点を翌月の投稿に反映する運用が現実的です。
- どのくらいで成果が出ますか?
- 評価は最低6か月継続してから行ってください。Instagramは指名や信頼形成に効くため、効果が数字に出るまで時間がかかります。1〜2か月で判断すると、機能し始める前に撤退することになります。
- 保存数が低い投稿はどう直せばいいですか?
- 後で見返す理由があるかを確認してください。保存されるのは、比較検討に使える情報や手順がまとまっている投稿です。物件を1件だけ紹介する投稿より、条件別に複数を比較した投稿のほうが保存されます。
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)