
不動産のリール、内見動画で反響を取る構成の作り方
この記事の要点
- 冒頭2秒で物件の結論を出す。会社紹介から始めない
- 尺は30〜45秒。長いほど完走率が下がる
- 撮影順は玄関から一筆書きで動線をなぞる
- テロップは家賃・間取り・駅徒歩を最初に出す
- 伸びない原因は編集より構成にある
不動産会社がInstagramのリールで反響を取るための構成を解説します。賃貸・売買仲介の担当者向けに、離脱される原因、冒頭2秒の作り方、内見動画の撮影順、テロップと尺の基準、改善の回し方をまとめました。
本記事は、賃貸・売買仲介の店舗でInstagramのリールを制作している担当者向けです。Instagram運用全体の流れは「不動産会社のInstagram運用完全ガイド」で解説しています。本記事はそのうち、リール・内見動画の構成を扱います。
不動産のリールが伸びない原因はどこにあるのか?
伸びない原因の多くは、編集技術ではなく構成にあります。具体的には、冒頭2秒で視聴者が「自分に関係がある動画か」を判断できていないことが最大の要因です。
リールは、フォロワー以外のフィードにも表示されます。表示された視聴者は、続きを見るか指を動かすかを数秒で決めます。この時点で物件の情報が何も出ていなければ、内容の良し悪しに関わらず離脱します。
よくある冒頭は「こんにちは、◯◯不動産です」という挨拶や会社紹介ですが、視聴者は会社を見に来ているわけではありません。物件を見に来ています。
編集ソフトの機能やカット割りを工夫しても、冒頭で離脱されていれば効果は出ません。改善の順序としては、構成→冒頭→テロップ→編集の順で見直します。
今日の1アクション:直近に投稿したリールの冒頭2秒を見返し、物件情報が出ているか確認してください。
冒頭2秒には何を出すべきか?
冒頭2秒には物件の結論を出します。家賃・間取り・駅徒歩の3点を、映像とテロップの両方で提示するのが基本です。
冒頭の型
例 | |
|---|---|
避けたい冒頭 | 「こんにちは、◯◯不動産です」/会社ロゴのアニメーション |
推奨する冒頭 | 「駅徒歩5分、家賃8万円台の1LDK」+室内の最も印象的なカット |
数値を先に出すことで、条件が合わない視聴者は離脱しますが、条件が合う視聴者は最後まで見ます。全員に見てもらうより、見込み客に見てもらうほうが問い合わせにつながります。
家賃を出すと問い合わせが減ると考えられがちですが、実際には条件確認だけのDMが減り、条件が合う人からの問い合わせが残ります。対応工数の観点でも、最初に提示するほうが効率的です。
なお、家賃や駅徒歩を表示する際は、表示ルールに従ってください。徒歩分数は不動産の表示に関する公正競争規約により、道路距離80メートルにつき1分として算出し、1分未満の端数は切り上げます。
今日の1アクション:次のリールの冒頭2秒に、家賃・間取り・駅徒歩を入れてください。
内見動画はどの順番で撮ればいいか?
撮影は玄関から一筆書きで、実際の動線をなぞる順に撮ります。部屋を行き来する構成は、視聴者が間取りを把握できなくなるためです。
推奨する構成(30〜45秒)
- 0〜2秒:物件の結論(家賃・間取り・駅徒歩)+最も印象的なカット
- 2〜10秒:玄関から入り、廊下を進む
- 10〜25秒:水回り→居室へ、動線どおりに一筆書き
- 25〜40秒:この物件の推しポイントを1つだけ深掘り
- 40〜45秒:問い合わせの案内(DMまたはプロフィールのリンク)
撮影時は歩く速度を通常の半分程度に落とします。等速で歩くと映像が速すぎて、視聴者が空間を把握できません。
推しポイントは1つに絞ります。設備・眺望・収納・立地のうち、その物件で最も強い要素を1つ選び、そこだけ時間をかけます。すべてを均等に見せると印象が残りません。
撮影の基本(水平の取り方、明るさの合わせ方)は静止画と共通です。詳しくは物件写真の記事で解説しています。
今日の1アクション:次の内見時に、玄関から一筆書きで1本撮ってみてください。
尺とテロップはどう設計すべきか?
尺は30〜45秒、テロップは家賃・間取り・駅徒歩を最初に出します。尺が長いほど最後まで見られる割合が下がり、情報が後半にあるほど届かないためです。
尺の目安
尺 | 向く内容 | 注意点 |
|---|---|---|
15秒前後 | 1点訴求(眺望のみ、収納のみ) | 物件全体は伝わらない |
30〜45秒 | 内見動画・ルームツアー | 推奨。完走率と情報量の均衡が取れる |
60秒以上 | エリア紹介、複数物件の比較 | 完走率が下がる。目的を絞る |
テロップの基準
- 常時表示:家賃・間取り・駅徒歩(画面の隅に固定)
- 場面ごと:部屋名(洋室6帖、キッチンなど)と特筆事項
- 文字サイズ:スマートフォンで見て読める大きさ。小さい文字は読まれない
- 音声なしを前提:多くの視聴者は音を出さずに見るため、テロップだけで理解できる構成にする
畳数を表示する場合、不動産の表示に関する公正競争規約では1畳あたり1.62平方メートル以上として換算する必要があります。実際の面積と乖離した表示は避けてください。
今日の1アクション:直近のリールを音声を切って再生し、内容が理解できるか確認してください。
伸びなかった動画はどう改善するのか?
改善は離脱が起きた地点を特定するところから始めます。感覚で編集を変えても、原因が構成にあれば結果は変わらないためです。
確認する順序
- 視聴維持率:どの秒数で離脱が起きているかを確認する
- 冒頭2秒で大きく落ちている場合:構成の問題。物件の結論が出ていない
- 中盤で落ちている場合:動線か尺の問題。行き来していないか、間延びしていないか
- 最後まで見られているが反響がない場合:導線の問題。問い合わせ方法が示されていない
この作業を毎回手作業で行うのは負担が大きいため、動画の構成・演出・台本をスコア化して弱点を特定するツールを使う方法もあります。弊社が提供するRoxDirectorは、自社の動画を分析して改善点を数値で示すほか、同業・近隣エリアで伸びている動画を検索し、その構成から台本を作成する機能を備えています。「何を投稿すればいいか分からない」段階で、判断材料を得る用途に向きます。
手作業で進める場合も、伸びた動画と伸びなかった動画を並べ、冒頭2秒・尺・テロップの3点で比較する形であれば、改善点は特定できます。
今日の1アクション:直近5本のリールの視聴維持率を確認し、離脱が起きている秒数を書き出してください。
よくある失敗と注意点
不動産のリールで繰り返し起きる失敗は、次の5つです。
- 会社紹介から始める:視聴者は物件を見に来ています。冒頭2秒は物件の結論に使います
- 部屋を行き来する:間取りが把握できません。玄関から一筆書きにします
- 歩く速度が速い:空間が伝わりません。通常の半分程度に落とします
- すべての設備を均等に見せる:印象が残りません。推しポイントを1つに絞ります
- 音声前提で作る:多くの視聴者は音を出しません。テロップだけで成立させます
加えて、実物と異なる印象を与える編集には注意が必要です。広角の歪みを強調して部屋を広く見せる、明るさを過度に上げて採光を良く見せるといった加工は、実際のものより著しく優良であると誤認させる表示にあたるおそれがあります。判断に迷う場合は、宅地建物取引士や所属する公正取引協議会に確認してください。
まとめ:今日から始める1ステップ
不動産のリールは、次の基準で構成できます。
- 冒頭2秒に家賃・間取り・駅徒歩を出す
- 尺は30〜45秒
- 玄関から一筆書き、歩く速度は通常の半分
- 推しポイントは1つに絞る
- テロップだけで理解できる構成にする
- 改善は視聴維持率から離脱地点を特定して行う
今日の1ステップ:次に撮るリールの冒頭2秒に入れる文言を、撮影前に決めてください。「駅徒歩◯分、家賃◯万円台の◯LDK」の形で1行にします。
よくある質問
- リールは何秒がいいですか?
- 30〜45秒を目安にしてください。尺が長いほど最後まで見られる割合が下がります。1本ですべてを見せようとせず、物件1件につき1本に絞るほうが完走されやすくなります。
- 編集ソフトは何を使えばいいですか?
- スマートフォンの無料編集アプリで十分です。不動産のリールで差が出るのは編集技術より構成です。カット割りや効果音を凝るより、冒頭2秒と情報の出す順番を見直すほうが効果があります。
- 顔出しは必要ですか?
- 必須ではありません。物件の内見動画は顔出しなしでも成立します。ただし担当者が話す動画は信頼形成に寄与するため、ハイライトやフィード投稿で別途スタッフを見せる構成が有効です。
- リールに家賃を出すと問い合わせが減りませんか?
- 条件が合わない人からの問い合わせが減り、条件が合う人からの問い合わせが増えます。家賃を隠すと、確認のためのDMは増えますが成約率は下がります。最初に提示するほうが効率的です。
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)/不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(不動産公正取引協議会連合会)/不当景品類及び不当表示防止法