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内見動画制作の法的注意点(宅建業法・景表法・公正競争規約)

この記事の要点

  • SNS投稿も事業者広告であれば公正競争規約の対象になる
  • 成約済み物件の削除忘れはおとり広告とみなされるリスクがある
  • 根拠のない強調表現は媒体を問わず規制の対象になりうる
  • 肖像権・著作権への配慮も内見動画制作では欠かせない

内見動画制作の法的注意点

内見動画やShorts動画も、事業者による広告として行われるものであれば、不動産の表示に関する公正競争規約(景品表示法第36条に基づく規約)の対象になる。個人アカウントからの投稿であっても、事業者の広告として行われている実態があれば対象外にはならない。本記事は一般的な留意点の整理であり、法令解釈を断定するものではない。個別の判断は専門家に確認することをすすめる。

内見動画に関わる主な規制 景品表示法 広告全般の 優良誤認・有利誤認 宅地建物取引業法 宅建業者の 誇大広告等の禁止 公正競争規約 加盟事業者の 表示ルール

内見動画・SNS広告に関わる主な3つの規制

SNS投稿も広告規制の対象になる

InstagramやTikTok、YouTubeを使ったルームツアー動画による集客が広がっているが、こうした動画も不動産取引のための広告として行われるものであれば、表示規約等の規制対象となる。媒体がSNSであること、投稿者が個人アカウントであることは、それ自体で規制対象外になる理由にはならない点に注意が必要になる。[1]

おとり広告に注意する

成約済み物件を削除し忘れるリスク

SNSで物件情報を告知したあと、既に成約となった物件の投稿を削除せず放置していると、意図的でなくても存在しない物件の広告を掲載し続けていることになり、おとり広告とみなされる可能性が指摘されている。表示規約第27条には、表示違反に関する措置が定められている。[2]

投稿の削除・更新を運用フローに組み込む

内見動画の投稿数が増えるほど、成約後の削除対応が漏れやすくなる。物件の成約が決まった時点で、関連する過去の投稿を確認・削除するフローを、通常の反響対応フローの中にあらかじめ組み込んでおくことをすすめる。

誇大表現・根拠のない強調表現に注意する

SNSだからといって誇張表現が許されるわけではない。たとえば「駅近、わずか1分」といった表現も、実際の徒歩分数に基づいた根拠がなければ違反となる可能性がある。物件についての特徴やスペックを実際よりも過大に表現した場合や、不当な比較、誤解を与えかねない表現も同様に問題となりうる。[3][4]

内見動画にAIで生成したテロップやキャッチコピーを使う場合も、この基準は変わらない。AIが生成した表現がどの程度の根拠に基づいているかを、公開前に必ず人が確認する必要がある。

広告であることの明示(ステルスマーケティング対策)

SNSでの不動産広告は、広告であることがわかるように明示することが前提になる。これはステルスマーケティングを防止するためであり、事業者アカウントからの投稿であることが明確であれば通常は問題になりにくいが、個人の体験談を装うような投稿の仕方には注意が必要になる。[3]

必要表示事項の記載

不動産の表示に関する公正競争規約では、物件種別ごとに価格・面積・最寄り駅までの徒歩分数・完成時期などの必要表示事項が定められている。内見動画の投稿文やテロップに、これらの必要表示事項を過不足なく含められているか確認する。詳細は物件種別ごとの別表(不動産公正取引協議会連合会が公開する別表1〜10)で定められているため、動画制作の担当者だけでなく、広告表示の管理担当者とも連携して確認することをすすめる。[5]

撮影時の肖像権への配慮

内見動画の撮影中に、共用部やエントランスで他の入居者・通行人が映り込む可能性がある。可能な限り人物が映り込まないタイミングで撮影し、映り込んでしまった場合は編集段階でぼかし処理を行うなど、肖像権に配慮した対応を検討する。共用部の撮影については、物件の管理規約や管理会社の方針も事前に確認しておくとよい。

音源・BGMの著作権

内見動画にBGMを使用する場合、各SNSプラットフォームが提供する音源ライブラリの利用範囲内で使用する。商用利用が制限されている楽曲を無断で使用すると、著作権上の問題に発展するおそれがある。プラットフォームの利用規約を確認したうえで音源を選ぶことをすすめる。

店舗内でのチェック体制の作り方

動画制作の担当者だけに法規制の確認を任せると、見落としが起きやすい。投稿前のチェックリストを用意し、「成約状況の確認」「表示事項の記載確認」「誇大表現の有無」の3点を、投稿担当者以外の人が最終確認する2段階の運用にすると、事故のリスクを減らせる。

規約・法令は改正されることを前提にする

不動産の表示に関する公正競争規約や関連法令は改正されることがある。本記事に記載した内容は2026年9月時点の一般的な理解であり、実際の運用にあたっては、不動産公正取引協議会連合会や所属する業界団体の最新情報を定期的に確認することをすすめる。

よくある失敗と注意点

  • 成約済み物件の投稿を削除し忘れる:おとり広告とみなされるリスクがある。成約時の削除フローを整備する。
  • 根拠のない強調表現を使う:「駅近」「破格」といった表現は、根拠となる数値・事実が伴っているか確認する。
  • 必要表示事項が動画・投稿文に含まれていない:物件種別ごとの必要表示事項を確認し、漏れなく記載する。
  • 共用部で通行人・他の入居者が映り込む:肖像権への配慮を怠らない。

まとめ:今日から始める1ステップ

今日からできる最初の1ステップは、自社の過去のSNS投稿の中に、成約済みのまま削除されていない物件がないかを確認することだ。あわせて、投稿の削除・更新を反響対応フローに組み込めているかも見直すとよい。本記事の内容は一般的な留意点の整理であり、個別の広告表示や法令解釈については、不動産公正取引協議会や専門家に確認することをすすめる。

よくある質問

個人アカウントからの内見動画投稿も規制対象になりますか?

事業者の広告として行われるものであれば対象になる。投稿者が個人アカウントであること自体は、規制対象外になる理由にはならない。

成約済みの物件動画はすぐ削除すべきですか?

削除・更新を怠ると、意図的でなくてもおとり広告とみなされるリスクがある。成約が決まった時点で関連投稿を確認・削除するフローを整備することをすすめる。

AIが生成したテロップやコピーもチェックが必要ですか?

必要。AIが生成した表現も、根拠のない強調表現になっていないか、公開前に必ず人が確認する必要がある。

タグ:内見動画 / 公正競争規約 / おとり広告 / 不動産法規制

出典・参考
[1] 不動産広告のルールとは?表示義務・禁止用語・おとり広告の注意点(みらいえ)https://miraie-net.com/fudousan-column/advertising-rules/ / [2] SNSでの不動産広告の規制(不動産会社のミカタ)https://f-mikata.jp/rosette-250/ / [3] 不動産業界が知るべきSNS広告における表示規約の重要性(アド・コミュニケーションズ)https://ad-comi.co.jp/adrans/sns_advertising_regulations/ / [4] SNSでの不動産広告にも注意が必要!おとり広告にならないためのポイント(働き方ノウハウ)https://retech-network.com/posts/detail/1033 / [5] 公正競争規約の紹介(不動産公正取引協議会連合会)https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/ /本記事は一般的な留意点の整理であり法的助言ではない。最終判断は専門家に確認のこと(2026年9月時点の情報)